要約:以下は中国のDSL(データセキュリティ法)の英訳を日本語にしたものです。2021年9月1日より施行されています。


第1章 総則

第1条 本法は、データ処理活動を規範化し、データ安全を確保し、データの開発・利用を促進し、個人および組織の適法な権利利益を保護し、国家の主権・安全・発展の利益を守るために制定する。

第2条 本法は、中華人民共和国の領域内におけるデータ処理活動およびその安全監督に適用する。

中華人民共和国の領域外でデータ処理活動を行い、中華人民共和国の国家安全、公共の利益、または公民・組織の適法な権利利益を害した者は、法に従って法的責任を追及する。

第3条 本法にいう「データ」とは、電子的その他の方法による情報の記録をいう。

データ処理には、データの収集、保存、使用、加工、伝送、提供、公開などを含む。

データ安全とは、データが効果的に保護され適法に利用される状態にあることを確保し、かつ継続的な安全を確保する能力を備えるために必要な措置を講じることをいう。

第4条 データ安全を維持するにあたっては、総体的国家安全観を堅持し、データ安全ガバナンス体系を確立・整備し、データ安全保障能力を向上させなければならない。

第5条 中央国家安全指導機構は、国家のデータ安全業務の意思決定・審議・調整を担い、国家のデータ安全戦略および関連する重要方針を研究・策定し実施を指導し、国家のデータ安全に関する重要事項・重要業務を統一的に計画・調整し、国家のデータ安全業務調整メカニズムを構築する。

第6条 各地域・各部門は、それぞれの地域・部門の業務において収集・生成したデータおよびそのデータ安全について責任を負う。

工業、電気通信、交通、金融、自然資源、衛生、教育、科学技術の主管部門は、それぞれの業界・分野におけるデータ安全監督の責任を負う。

公安機関、国家安全機関などは、本法および関連する法律・行政法規の規定に従い、それぞれの職責の範囲内でデータ安全監督の責任を負う。

国家のネットワーク安全・情報化部門は、本法および関連する法律・行政法規の規定に従い、ネットワークデータ安全および関連する監督の統括・調整を担う。

第7条 国は、データに関わる個人および組織の権利利益を保護し、法に従ったデータの合理的かつ効果的な利用を奨励し、法に従ったデータの秩序ある自由な流通を保障し、データを重要な要素とするデジタル経済の発展を促進する。

第8条 データ処理活動を行う際は、法律・法規を遵守し、社会の公徳・倫理を尊重し、商業倫理・職業倫理を守り、誠実かつ信義に従い、データ安全保護義務を履行し、社会的責任を負わなければならず、国家安全・公共の利益を害し、または個人・組織の適法な権利利益を損なってはならない。

第9条 国は、データ安全知識の普及・啓発を支援し、社会全体のデータ安全保護の意識と水準を高め、関連部門、業界団体、科学研究機関、企業、個人などがデータ安全保護業務に共同で参加することを促し、社会全体でデータ安全と発展に資する環境を共に維持する態勢を形成する。

第10条 関連する業界団体は、定款に従ってデータ安全行動規範および団体標準を策定し、業界の自律を強化し、会員のデータ安全保護の強化を指導し、データ安全保護の水準を高め、業界の健全な発展を促進しなければならない。

第11条 国は、データ安全ガバナンス、データの開発・利用の分野で積極的に国際交流・協力を行い、データ安全に関する国際ルール・標準の策定に参加し、データの越境における安全で自由な流通を促進する。

第12条 いかなる個人・組織も、本法の規定に違反する行為について、関連する主管部門に苦情または通報を行う権利を有する。苦情・通報を受けた部門は、法に従って速やかに処理しなければならない。

関連する主管部門は、苦情申立人・通報者の関連情報を秘密に保ち、その適法な権利利益を保護しなければならない。


第2章 データ安全と発展

第13条 国は、発展と安全を統一的に計画し、データの開発・利用および産業発展を通じてデータ安全を促進し、データ安全を通じてデータの開発・利用および産業発展を保障することを堅持する。

第14条 国は、ビッグデータ戦略を実施し、データインフラの構築を推進し、各業界・分野におけるデータの革新的応用を奨励・支援する。

省級以上の人民政府は、デジタル経済の発展を国民経済・社会発展計画に組み込み、必要に応じてデジタル経済発展計画を策定しなければならない。

第15条 国は、データの開発・利用を支援して公共サービスのインテリジェント化水準を高める。インテリジェントな公共サービスを提供するにあたっては、高齢者・障害者のニーズを十分に考慮し、その日常生活の支障を避けなければならない。

第16条 国は、データの開発・利用およびデータ安全技術の研究を支援し、データの開発・利用およびデータ安全の分野における技術の普及と商業的革新を奨励し、データの開発・利用およびデータ安全の製品・産業体系を育成・発展させる。

第17条 国は、データの開発・利用技術およびデータ安全の標準体系の構築を推進する。国務院標準化行政部門および国務院の関連部門は、それぞれの職責に従い、データの開発・利用技術、製品およびデータ安全に関する標準の策定・適時改訂を組織する。国は、企業、社会団体、教育・科学研究機関の標準策定への参加を支援する。

第18条 国は、データ安全の検査・評価・認証などのサービスの発展を推進し、データ安全の検査・評価・認証などの専門機関が法に従ってサービス活動を行うことを支援する。

国は、関連部門、業界団体、企業、教育・科学研究機関、関連する専門機関がデータ安全リスクの評価・防止・対処に協力することを支援する。

第19条 国は、データ取引管理制度を確立・整備し、データ取引行為を規範化し、データ取引市場を育成する。

第20条 国は、教育・科学研究機関および企業がデータの開発・利用技術およびデータ安全に関する教育・研修を行うことを支援し、各種の方法でデータの開発・利用技術およびデータ安全の専門人材を育成し、人材交流を促進する。


第3章 データ安全制度

第21条 国は、データ分類・等級別保護制度を確立する。経済・社会発展におけるデータの重要性、およびデータが改ざん・破壊・漏えいされ、または不法に取得・利用された場合に国家安全、公共の利益、または個人・組織の適法な権利利益にもたらす危害の程度に応じて、データを分類・等級別に保護する。国家データ安全業務調整メカニズムは、関連部門を統括して重要データの目録を策定し、重要データの保護を強化する。

国家安全、国民経済の生命線、重要な国民生活、重大な公共の利益などに関わるデータは、国家のコアデータに属し、より厳格な管理制度を実施する。

各地域・各部門は、データ分類・等級別保護制度に従い、それぞれの地域・部門および関連する業界・分野における重要データの具体的目録を定め、目録に含まれるデータを重点的に保護しなければならない。

第22条 国は、集中・統一され、効率的かつ権威あるデータ安全リスク評価・報告・情報共有・監視・早期警戒のメカニズムを確立する。国家データ安全業務調整メカニズムは、関連部門を統括して、データ安全リスク情報の取得・分析・研究判断・早期警戒を強化する。

第23条 国は、データ安全緊急対応メカニズムを確立する。データ安全事案が発生した場合、関連する主管部門は法に従って緊急対応計画を起動し、相応の緊急措置を講じ、危害の拡大を防ぎ、潜在的な安全リスクを除去し、公衆に関わる警戒情報を速やかに公衆に公表しなければならない。

第24条 国は、データ安全審査制度を確立し、国家安全に影響を及ぼし、または及ぼすおそれのあるデータ処理活動について国家安全審査を行う。

法に従って行われた安全審査の決定は、最終的なものである。

第25条 国は、国家安全・利益の維持および国際的義務の履行に関わる規制対象品目に属するデータについて、輸出管理を行う。

第26条 いかなる国・地域が、データおよびデータの開発・利用技術に関わる投資・貿易などについて、中華人民共和国に対し差別的な禁止・制限その他これに類する措置をとる場合、中華人民共和国は実際の状況に応じて当該国・地域に対し相応の措置をとることができる。

 

第4章 データ安全保護義務

第27条 データ処理活動は、法律・法規の規定に従って行い、全過程のデータ安全管理制度を確立・整備し、データ安全に関する教育・研修を組織・実施し、相応の技術的措置その他の必要な措置を講じてデータ安全を確保しなければならない。インターネットその他の情報ネットワークを利用してデータ処理活動を行う場合は、ネットワーク安全等級保護制度を基礎として、上記のデータ安全保護義務を履行しなければならない。

重要データの処理者は、データ安全責任者および管理機構を明確にし、データ安全保護の責任を実施しなければならない。

第28条 データ処理活動を行い、データに関する新技術を研究・開発する際は、経済・社会の発展の促進、人々の福祉の増進に資するものであり、社会の公徳・倫理に適合しなければならない。

第29条 データ処理活動を行う際は、リスク監視を強化し、データ安全上の欠陥・脆弱性などのリスクを発見した場合は直ちに是正措置を講じなければならない。データ安全事案が発生した場合は、直ちに対処措置を講じ、規定に従って速やかに利用者に通知し、関連する主管部門に報告しなければならない。

第30条 重要データの処理者は、規定に従ってそのデータ処理活動について定期的にリスク評価を行い、関連する主管部門にリスク評価報告書を提出しなければならない。

リスク評価報告書には、処理する重要データの種類・数量、データ処理活動の状況、直面するデータ安全リスクおよびその対策などを含めなければならない。

 
第31条 重要情報インフラの運営者が中華人民共和国の領域内での運営において収集・生成した重要データの越境における安全管理は、『中華人民共和国サイバーセキュリティ法』の規定による。その他のデータ処理者が中華人民共和国の領域内での運営において収集・生成した重要データの越境における安全管理弁法は、国家のネットワーク安全・情報化部門が国務院の関連部門とともに策定する。

第32条 データを収集するいかなる組織・個人も、適法かつ正当な方法を採らなければならず、窃取その他の不法な方法でデータを取得してはならない。

法律・行政法規にデータの収集・使用の目的・範囲の定めがある場合は、法律・行政法規の定める目的・範囲内でデータを収集・使用しなければならない。

第33条 データ取引仲介サービスを行う機関がサービスを提供する際は、データ提供者にデータの出所の説明を求め、取引双方の身元を確認し、確認・取引の記録を保存しなければならない。

第34条 法律・行政法規に、データ処理に関わるサービスの提供について行政許可を取得すべき旨の定めがある場合、サービス提供者は法に従って許可を取得しなければならない。

第35条 公安機関・国家安全機関が、法に従って国家安全の維持または犯罪の捜査の必要からデータを取得する場合は、国の関連規定に従って厳格な承認手続を経て、法に従って行い、関連する組織・個人は協力しなければならない。

第36条 中華人民共和国の主管部門は、関連する法律および中華人民共和国が締結・加入した国際条約・協定に従い、または平等互恵の原則に従って、外国の司法・法執行機関によるデータ提供の要請を処理する。中華人民共和国の領域内の組織・個人は、中華人民共和国の主管部門の承認なく、中華人民共和国の領域内に保存するデータを外国の司法・法執行機関に提供してはならない。


第5章 政務データの安全と開放

第37条 国は、電子政務の構築を力強く推進し、政務データの科学性・正確性・適時性を高め、データを用いて経済・社会の発展に資する能力を強化する。

第38条 国家機関が法定の職責を遂行するためにデータを収集・使用する場合は、法律・行政法規の定める条件・手続に従い、その法定職責の範囲内で行わなければならない。職務遂行の過程で知り得た個人のプライバシー、個人情報、営業秘密、秘密の商業情報その他のデータは、法に従って秘密に保ち、漏えいし、または他人に不法に提供してはならない。

第39条 国家機関は、法律・行政法規の規定に従い、データ安全管理制度を確立・整備し、データ安全保護の責任を実施し、政務データの安全を確保しなければならない。

 
第40条 国家機関が他者に委託して電子政務システムを構築・保守し、政務データを保存・処理させる場合は、厳格な承認手続を経て、委託先が相応のデータ安全保護義務を履行するよう監督しなければならない。委託先は、法律・法規および契約の規定に従ってデータ安全保護義務を履行し、政務データを権限なく保持・使用・漏えいし、または他人に提供してはならない。

第41条 国家機関は、公正・公平・国民の便宜の原則に従い、規定に従って政務データを速やかかつ正確に公開しなければならない。法に従って公開しないものを除く。

第42条 国は、政務データ開放目録を策定し、統一・規範化され、相互接続され、安全で制御可能な政務データ開放プラットフォームを構築し、政務データの開放的な利用を促進する。

第43条 本章の規定は、法律・法規により公共事務を管理する機能を授権された組織が、法定職責を遂行するためにデータ処理活動を行う場合に適用する。


第6章 法的責任

第44条 関連する主管部門は、データ安全監督の職責の遂行において、データ処理活動に比較的大きな安全リスクがあることを発見した場合、所定の権限・手続に従って関連する組織・個人を聴取し、関連する組織・個人に是正措置を講じて潜在的な危険を除去するよう求めることができる。

第45条 データ処理活動を行う組織・個人が、本法第27条・第29条・第30条に定めるデータ安全保護義務を履行しない場合、関連する主管部門は是正を命じ、警告を与え、あわせて5万元以上50万元以下の罰金を科すことができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に1万元以上10万元以下の罰金を科すことができる。是正を拒否し、または大量のデータ漏えいなどの重大な結果をもたらした場合は、50万元以上200万元以下の罰金を科し、関連業務の停止、業務停止・整頓、関連業務許可の取消し、または営業許可の取消しを命じることができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に5万元以上20万元以下の罰金を科す。

国家のコアデータ管理制度に違反し、国家の主権・安全・発展の利益を害した場合は、関連する主管部門が200万元以上1000万元以下の罰金を科し、情状に応じて関連業務の停止、業務停止・整頓、関連業務許可の取消し、または営業許可の取消しを命じる。犯罪を構成する場合は、法に従って刑事責任を追及する。

第46条 本法第31条の規定に違反して重要データを国外に提供した者は、関連する主管部門が是正を命じ、警告を与え、あわせて10万元以上100万元以下の罰金を科すことができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に1万元以上10万元以下の罰金を科すことができる。情状が重い場合は、100万元以上1000万元以下の罰金を科し、関連業務の停止、業務停止・整頓、関連業務許可の取消し、または営業許可の取消しを命じることができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に10万元以上100万元以下の罰金を科す。

第47条 データ取引仲介サービスを行う機関が、本法第33条に定める義務を履行しない場合、関連する主管部門は是正を命じ、違法所得を没収し、違法所得の1倍以上10倍以下の罰金を科す。違法所得がない、または違法所得が10万元未満の場合は、10万元以上100万元以下の罰金を科し、あわせて関連業務の業務停止・整頓、関連業務許可の取消し、または営業許可の取消しを命じることができる。直接責任を負う主管者その他の直接責任者に1万元以上10万元以下の罰金を科す。

第48条 本法第35条の規定に違反してデータの取得への協力を拒否した者は、是正を命じられ、警告を与えられ、5万元以上50万元以下の罰金を科され、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に1万元以上10万元以下の罰金を科される。

本法第36条の規定に違反し、主管部門の承認なく外国の司法・法執行機関にデータを提供した者は、関連する主管部門が警告を与え、あわせて10万元以上100万元以下の罰金を科すことができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に1万元以上10万元以下の罰金を科すことができる。重大な結果をもたらした場合は、100万元以上500万元以下の罰金を科し、関連業務の停止、業務停止・整頓、関連業務許可の取消し、または営業許可の取消しを命じることができ、直接責任を負う主管者その他の直接責任者に5万元以上50万元以下の罰金を科す。

第49条 国家機関が本法に定めるデータ安全保護義務を履行しない場合、直接責任を負う主管者その他の直接責任者を法に従って処分する。

第50条 データ安全監督の職責を遂行する国家公務員が、職務を怠り、職権を濫用し、または私利のために不正を行った場合は、法に従って処分する。

第51条 窃取その他の不法な手段でデータを取得し、競争を排除・制限し、または個人・組織の適法な権利利益を損なうデータ処理活動を行った者は、関連する法律・行政法規の規定に従って処罰する。

第52条 本法の規定に違反して他人に損害を与えた者は、法に従って民事責任を負う。

本法の規定に違反し治安管理違反を構成する場合は、法に従って治安管理処罰を科す。犯罪を構成する場合は、法に従って刑事責任を追及する。


第7章 附則

第53条 国家秘密に関わるデータ処理活動は、『中華人民共和国国家秘密保持法』その他の法律・行政法規による。

統計・公文書管理業務においてデータ処理活動を行う場合、および個人情報に関わるデータ処理活動を行う場合は、関連する法律・行政法規も遵守しなければならない。

第54条 軍事データの安全保護弁法は、本法に基づき中央軍事委員会が別途策定する。

第55条 本法は2021年9月1日より施行する。



おわりに

データセキュリティ法の原文は中国語で書かれています。上記はそれを英訳し、さらに日本語にしたものです。本資料は法の概要を素早く把握するためのものです。

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一次情報:『中華人民共和国データセキュリティ法』、2021年6月10日採択、2021年9月1日施行。全文は中国サイバースペース管理局(CAC)が公表:cac.gov.cn。

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